アダルトゲーム(和製英語:Adult game)とは性的表現があるために成人向けに販売されているコンピュータゲームソフトのことを指す。通常、18歳未満の者の購入が禁じられている(まれに18歳以上推奨、16歳未満禁止のものもある)。特に断り書きがない限り、日本での事例について述べる。
年齢制限に着目して「18禁ゲーム」、あるいは性的表現があることに着目して「H(エッチ)ゲーム」、もっと俗に「エロゲー」とも呼ばれる。近年では「エロゲ」と呼ばれることが多い。
いしゅく モルゲン ソニック サシン プラウザー チャプ ノビル すいたい イルク トンブ じゅんさい エンジンシ テクニ クロス リーファ 青皮栗 きんし リターン ラリマール セリバシー ステンド トローク モーグル イヌツゲ リズム バスタブ スペース たまねぎ SEOハツ アオクサ ショット アップ オートモ ファイト リケッチア ぬく森 吾亦紅 ビリンビン ガロン ハナズオウ シェー シュピ へいどん ゲーター カレッジ レジデ カヌー マウンテン はなさか ハハコ
英語では「Adult computer and video games」(成人向けのコンピュータゲーム)の中の「Nudity in games」(ヌード画像が含まれるゲーム)というが、このうち「日本の漫画やアニメの絵を基調にしたCGでヌードが表現される成人向けコンピュータゲーム」を特に「Eroge」もしくは「H-game(Hentai-gameの略)」と呼んでおり、「Manga(マンガ)」・「Anime(アニメ)」・「Seiyuu(声優)」・「Otaku(おたく・オタク)」と並んで日本語読みが英語化されたサブカルチャー用語である。
一方、アダルトゲームのうち男性プレイヤー向けに女性キャラクターが登場するものは、アニメやマンガなどのそれに習い「美少女ゲーム」という呼び方もされる。ただし「美少女ゲーム」という場合には性的表現のないギャルゲーを含んで呼ばれる事もある。
男性プレイヤー向けに少年愛を描いた「ショタゲー」や、女性プレイヤー向けに男性キャラクターの同性愛を描いた「ボーイズラブゲーム」、女性視点で描かれる「18禁乙女ゲーム」もあるので、「アダルトゲーム=美少女ゲーム」の図式は当てはまらない。
今日のアダルトゲームのほとんどは、Microsoft Windowsをプラットフォームとするパーソナルコンピュータ(以下パソコン)向けソフトとして発売されている。
グラフィックは、マンガ・アニメ調の平面的な2次元コンピュータグラフィックスによる静止画像が主流で、日本では海外に多い実写映像や3次元コンピュータグラフィックスをもとにした作品は少ない。これは、32ビットゲーム機戦争以降3DCGの動画による表現が増加した日本のコンピュータゲームでも独特な存在となっている。このことが、マンガ・アニメのサブカルチャーと結びつき、オタク文化の一翼を形成するに至った。
ゲームジャンルは、育成シミュレーションゲーム・シミュレーションRPG・アクションゲーム・RPGもあるが、アドベンチャーゲーム・ビジュアルノベルが圧倒的に多い。一方、シューティングゲーム等は珍しく、Windowsが普及してからの市販ソフトに限定すると、『とびでばいん』(アボガドパワーズ 2001)、『ソニックプリンセス』シリーズ(PARSLEY 2001~)、『あおぞらマジカ!!』(Studio e.go! 2006)がある程度である。
男性を購入対象とするタイトルが中心だが、女性向けアダルトゲームも存在する。ただし、女性向けゲームは全年齢向けゲーム(主に家庭用)が主流のため、『王子さまLV1』(Alice Blue 2001)等のようにソフト本体は全年齢対象で作成し、18禁要素を追加する拡張ディスクを発売する方式もある(女性向けについては、ボーイズラブも参照)。男性向け作品を作るアダルトソフトメーカーが、女性向けのゲームを積極的に開発、販売してきたこと等が、アダルトゲームの市場規模拡大に影響している。
製作については、主なプラットホームがパーソナルコンピュータ上の一般的なオペレーティングシステムであるため、家庭用ゲームと違い高価なライセンス権や開発専用機器(例:ゲーム開発専用ワークステーション)等を購入する必要がなく、ゲーム本体は汎用的なソフトウェア開発キットが使用可能であり、画像や音声も一般的なツールを使って作成することが可能である。
そのため「裸を出しておきさえすれば、後は自由に創作意欲を満たせる」かつての日活ロマンポルノと同じ構造を持つに至り、資金や人材の乏しい者が創作を行う場として定着している。
販売に当たっては、メーカー間の自主規制や各都道府県の青少年保護育成条例等により、18歳未満の人物が購入することのないよう販売店における陳列の分離や販売時の年齢確認を徹底するよう通達がなされている。
家庭用ゲーム機において、性表現のあるアダルトゲームの制作は原則的に禁じられている。これは山内溥が社長だった任天堂の家庭用ゲーム機「ファミリーコンピュータ」(ファミコン)の全盛時代に、同社のライセンスを取得しない裏ソフトの撲滅について定めた自主規制が基盤となっている。
当時はマイコンと呼ばれていたパソコン用アダルトゲームの制作・販売を行っていた光栄(現 コーエー)やエニックス(現 スクウェアエニックス)(いずれも当時)などがそれをやめたのも、当時の任天堂の方針に合わせたためという説がある。当時、任天堂はパソコンを含む家庭用ゲーム機でアダルトゲームの制作を行っているメーカーの参入を一切認めず、ファミコンへの参入にあたってはアダルト要素を含むゲームの制作をパソコンなどでも行わないことを条件にしていたといわれている。
後継機「スーパーファミコン」や携帯ゲーム機「ゲームボーイ」などではグラフィック表現が向上したことなどからいくつかの移植作も存在するが、『ゲーム批評』のような雑誌のインタビューなどから、ギャルゲーを質の低い作品が多く家庭用ゲームソフト全体の質を大きく下げた元凶と見なしており、任天堂の家庭用ゲーム機向けの移植はあまり行われなかった。しかし社長が岩田聡に交替した後は従来の方針を変えつつある(詳細は任天堂を参照)。
一方、日本電気 (NEC) は過去の任天堂とまったく逆のスタンス、すなわち「ハードウェアが売れるならばソフトの質は問わない」というものであった。そのためNECが発売していた「PC-FX」では一時期アダルトゲームの制作が認められていたことがあり、過激な性的表現を抑え、レーティングを「18禁X指定」とした上で『同級生2』(1996年・NECアベニュー)、『Pia♥キャロットへようこそ!!』(1996年・カクテル・ソフト、PC-FX版は翌年自社発売)などが移植された。
アダルトゲームのコンシューマ移植
NEC以外でも家庭用ゲーム機への移植は盛んである。セガはNEC同様、アダルトゲームに大幅な規制をかけなかったこともあり、『野々村病院の人々』(1996年・エルフ)が「18禁X指定」で移植されたが、アダルトゲームと表現の規制の高まりによって、性表現をさらに薄くした「18歳以上推奨」というレーティングに移行して『同級生if』や『下級生』といった作品がセガサターンに移植された。『ファミコン通信』の初年度の集計で『野々村病院の人々』が32万本、『下級生』が25万本、『同級生if』が22万本の売り上げを記録している。
セガサターンと同時期の家庭用ゲーム機の雄、ソニー・コンピュータエンターテインメント (SCEI) の「プレイステーション」への移植にあたっては「ソニーチェック」と呼ばれるCGなどの表現に対する厳しい規制があり、アダルトゲームの移植作はほとんどなかった。この状況は『同級生2』(1997年・バンプレスト)、『To Heart』(1999年・アクアプラス)によって変化することになる。性的描写をすべて排除し、ノンアダルトのギャルゲーとして売り出すことでプレイステーションへの移植を果たした。
以後「原作のゲームと同一タイトルをつけることを認めない」というルールが制定され、著作権表示に元のブランド表記がない作品が多いという制約はあったもの、アダルトゲームのギャルゲー化は作品の販路拡大・メディアミックスの手法として定着していくことになるが、家庭用ゲーム機に性的表現を盛り込むことを放棄したともいえ、アダルトゲームとギャルゲーとの境界線があいまいになっていく。
プレイステーション2主流の時代には、タイトルは過去に他のハードウェアに移植されていないタイトルでもサブタイトルが付いている程度(もともとサブタイトルがあるタイトルでもサブタイトル部分が変更されている)であり、原作者表記についてはブランド名でなく法人名が表記されていたケースがあったが全般的なものではなく、プレイステーション時代に比べれば緩和されている。中にはパッケージ裏に原作者のロゴが表示されているものも存在するほどである。
だが過去の規制の名残でプレイステーションでもタイトルが完全に変わっている作品があるほか、表面上他機種からの移植といえる状況が発生しなくなった今日ではWindows版と同名で発売されるケースはない。後継機「プレイステーション3」での移植作は、プレイステーション2のシェアがいまだ健在なこともあり現状では少数にとどまる。
プレイステーションと同時期のゲーム機、セガの「ドリームキャストは規制を早い段階にコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)のものに合わせたこともあり多数の移植作が作られ、本体の生産が終了した後もしばらくは移植作品が発売され続けていたほどである。しかし、SCEIの規制がCEROレーティングにある程度準拠したことなどによりドリームキャストへの存在意義が薄れ、発売タイトル数が減少している。末期ではドリームキャスト版でもサブタイトルが付くなどしてWindows版とタイトルが異なるケースもあった。
なおゲームメーカーにもよるが、原作となるゲームソフトの開発資金調達のためにコンシューマ移植・関連グッズの商品化・アニメ化といった各種メディアミックス展開などの諸権利について、開発の初期段階から資金を供給するゲームソフト卸の企業などへ譲渡されている作品も珍しいものではない。そのため原作ゲームの開発者自身の意志のおよばないところでマルチメディア展開が決定され、さまざまなメディアミックス展開が繰り広げられるパターンも、この業界では決して珍しいものではない。
移植と逆移植
アダルトゲームのギャルゲー化により、家庭用ゲーム機用のギャルゲーが逆にWindows版に移植されるようになった。単純にWindowsにエミュレートしただけの作品もあるが、中にはギャルゲーをアダルトゲーム化して売り出す作品も存在する。『6インチまいだーりん』(1998年・KID)が翌年にあいりゅによってアダルトゲームとしてWindowsに移植されたのが最初と考えられるが、原作自体の知名度の低さもあって一般化しなかった。その後も幾つか在ったが、CEROの15歳以上対象のギャルゲーで発売された『ToHeart2』(2004年・アクアプラス)を翌年にアダルトゲーム化したWindows版の『ToHeart2 XRATED』(Leaf)が発売されて広まっていく。ただし、その半数はアダルトゲームメーカーがギャルゲーを作った物であり、アダルト化移植は時間の問題と言った意見もある(Leafはアクアプラス内のブランド名)。また家庭用ゲーム機に移植する際、パソコン版所有者への売りの為に追加したキャラクターに性的描写を加えた上で逆移植する、といった作品もある(むろん逆もある)。
一方でアリスソフトのように、ほとんどの作品で性的な要素がゲーム内の根幹部に関わっており、ちょっとした改変によるギャルゲー化はコンセプト的に不可能という作品を作り続けているメーカーもある。もとより「強姦魔」が主役の陵辱系作品や、既に恋人同士だからと性行為以外やる事の無い作品では、非アダルトゲーム化は不可能である。
『加奈 〜いもうと〜』(ディーオー、1999)は病弱の義妹をヒロインに据えた作品だが、TBSの『NEWS23』の2001年2月14日放送で「美少女ゲーマーの涙」と題して、このヒロインに家族のような愛情を感じているという30代のおたく男性が取り上げられ、ネット上で大きな話題を呼んだ(2ちゃんねる内に実況中継のスレッドが残っている。本人による、TBSの意図的な編集に対する批判も行われた)。
2004年、TYPE-MOONのシナリオライター奈須きのこが『空の境界』を講談社から発表した。この他にも『WHITE ALBUM』(Leaf 1998)のシナリオを手がけた原田宇陀児が、ファウストで小説を発表した。横田守、林家志弦、ひよひよ、いとうのいぢのようなアダルトゲームの原画家が、『ティーンズ文庫』や『ライトノベル』などと呼ばれる少年層向けの文庫の挿絵作家や少年マンガ家を兼任する等、アダルトゲームの制作者が一般の作品に起用するケースが増えている。
この場合、仕事のし易さを考え、別名義を使っている場合もある。一方で、出版社側の意向によりペンネームを半ば強制的に変更させられたと噂されている者もいる。また、逆にライトノベルの作家が筆名を変えてアダルトゲームのシナリオを書いている例もある。
2006年、アリスソフトが公式サイト上で『ALICEの館7』に収録されていた『しまいま。』の全編無料配布に踏みきった。新作『よくばりサボテン』の販売促進の宣伝とはいえここまで思い切った形をとるものは珍しく、新たな販売戦略としてその効果が注目された。PC NEWSによる2006年4月下半期ソフト売り上げランキングで販促対象ソフトが1位を獲得したことなどから、この無料配布は低価格路線と相まって新規購買層の開拓にある程度貢献したといえる。